「欧州で商標登録したいのだけど、出願から登録までの流れを知りたい。
日本の商標登録制度とどう違うのだろうか。
あと、商標登録と更新にかかる費用も知りたい。」
こうした疑問に答えます。
欧州の連合商標制度は、日本の商標制度とは大きく異なります。
結論から言うと、大きな相違点は以下の3つです。
ポイント
①登録査定の前に出願公告期間(異議申し立て期間)がある点
②登録納付料は不要である点
③実体審査では先願商標との類否判断はされない点➤重要
実体審査について、日本と大きく異なりますので注意が必要です。
欧州では、先願商標と類似している場合でも登録されますし、あなたがすでに登録された商標と類似した商標が後願で出願された場合でも登録されてしまう場合があります。
この点について、本内容の第2章で深く解説していきます。
欧州の商標出願から更新までにかかる特許庁費用は以下のとおりです。
1区分 | 2区分 | 3区分 | |
---|---|---|---|
欧州特許庁出願費用(出願時に払う費用) | 850ユーロ (約104,700円) |
900ユーロ (約110,900円) |
1,050ユーロ (約129,400円) |
欧州特許庁登録費用(登録時に払う費用) | 無料 | 無料 | 無料 |
欧州特許庁更新費用(更新時に払う費用) | 850ユーロ (約104,700円) |
900ユーロ (約110,900円) |
1,050ユーロ (約129,400円) |
以下では、出願から登録までの流れ、日本の商標制度との相違点、費用についてさらに深堀していきます。
本内容の構成
1.欧州の商標の出願から登録までの流れを解説
2.欧州の商標の出願制度と日本の商標の出願制度の相違点は3つ
3.欧州の商標の出願から登録・更新までにかかる費用を解説
4.欧州の商標出願制度のまとめ
1.欧州の連合商標の出願から登録までの流れを解説
欧州の商標出願から登録までに5つのステップがあります。
①出願
②方式審査
③実体審査
④出願公告
⑤登録公告・登録証発行
順番に解説していきます。
①出願
出願書類(願書)に記載の事項は以下のとおり。
- ①出願人の氏名と住所
- ②登録したい商標
- ③指定商品(役務)とその区分
原則①~③については、日本で記載すべき内容と相違はありません。
登録できる商標は以下のとおり。
- 記号、文字、図形、音、におい、立体的形状、ホログラム・動作または色彩商標
「におい」についても韓国では商標登録できる点が日本とは異なります。
出願は、EUのいずれかの国の公用語ですることができます。
②方式審査
方式審査は、出願書類に形式的な不備がないかの審査です。
不備がある場合、EU特許庁から修正の指令が通知されます。
③実体審査
実体審査は、先願商標と同一・類似であるかといった類否判断は行われないことに注意してください。
識別性があるかどうか、公序良俗に違反していないかどうかといった絶対的拒絶理由の審査のみが行われます。
④出願公告
実体審査で絶対的不登録理由がないと判断された場合、出願公告されます。
出願公告の期間は3か月であり、この期間に第3者が商標の異議申し立てをすることができます。
この期間に第3者から先願商標と同一・類似であるかといった類否判断が行われます。
先願商標と同一・類似であるかの審査はこの期間にしか行われないことに注意してください。
このため、第3者から申し立てがないと、先願の登録商標と類似していても、商標登録されることもありますし、あなたの商標が仮に登録されても、後願であなたの登録商標と類似の商標が登録されることもありえます。
そこで、EUで商標登録した場合は後願にあなたの登録商標と同一・類似した商標がないかどうかチェックする必要があります。
⑤登録公告・登録証発行
出願公告の間に異議申し立てがされなかった場合、あるいは異議申し立てが認められなかった場合、登録公告がされ、登録証が発行されます。
登録公告がされると、登録証が発行されます。(登録納付料は不要です。)
商標権の存続期間は日本同様10年間であり、更新により存続させることができます。
以上をまとめると、出願から登録までの流れでは、実体審査の後に出願公告があることと、実体審査では、先願商標との類否判断はされない点が大きなポイントとなります。
では、続いて制度について日本の商標制度と対比しながら解説していきます。
2.欧州の連合商標の出願制度と日本の商標の出願制度の相違点は3つ
相違点は以下の3つです。
ポイント
①登録査定の前に出願公告期間(異議申し立て期間)がある点(解説済み)
②登録納付料は不要である点
③実体審査では先願商標との類否判断はされない点➤重要(解説済み)
一見登録納付料が不要であるので、費用が安く抑えられる印象を受けますが、欧州連合商標にかかる費用はとても高いです。
以下、解説していきます。
3.欧州の連合商標の出願から登録・更新までにかかる費用を解説
1区分 | 2区分 | 3区分 | |
---|---|---|---|
欧州特許庁出願費用(出願時に払う費用) | 850ユーロ (約104,700円) |
900ユーロ (約110,900円) |
1,050ユーロ (約129,400円) |
欧州特許庁登録費用(登録時に払う費用) | 無料 | 無料 | 無料 |
欧州特許庁更新費用(更新時に払う費用) | 850ユーロ (約104,700円) |
900ユーロ (約110,900円) |
1,050ユーロ (約129,400円) |
出願から登録・更新までにかかる特許庁費用は以上のとおり。
1区分あたり、出願から登録までに100,000円ほど、更新に100,000円ほどかかります。
一方、日本の場合、1区分あたり、出願から登録までに30,200円かかり、更新に38,800円かかりますので、日本と比べると欧州の方が特許庁費用は高くなります。
4.欧州の連合商標出願制度のまとめ
以上をまとめます。
ポイント
①登録査定の前に出願公告期間(異議申し立て期間)がある点
②登録納付料は不要である点
③実体審査では先願商標との類否判断はされない点➤重要
欧州の商標出願から更新までにかかる特許庁費用は以下のとおり。
1区分 | 2区分 | 3区分 | |
---|---|---|---|
欧州特許庁出願費用(出願時に払う費用) | 850ユーロ (約104,700円) |
900ユーロ (約110,900円) |
1,050ユーロ (約129,400円) |
欧州特許庁登録費用(登録時に払う費用) | 無料 | 無料 | 無料 |
欧州特許庁更新費用(更新時に払う費用) | 850ユーロ (約104,700円) |
900ユーロ (約110,900円) |
1,050ユーロ (約129,400円) |