「中国で商標がパクられたというニュースが目立つよなあ。
自分の登録商標もパクられているか心配…
中国で登録されている商標の調べ方を知りたいなあ。
あと中国で出願する場合に失敗したくないから注意点や費用を教えてほしい。
費用は安くおさえたい。」
こうした疑問に答えます。
あなたの商標が中国で不正に使用されないための方法として中国で商標登録出願をしておくことがあげられます。
一見すると、中国で商標登録出願をすると費用が高くなるような印象を受けますが、意外と安くすみます。
ただし、中国の商標登録制度は、日本の商標登録制度と異なる点もありますので失敗したくなければ注意が必要です。
そこで、本内容では、中国商標登録出願の初心者の方がすべてわかるように失敗しないためのポイントをまとめました。
本内容の構成
- 1.中国の商標パクリ問題と対策方法
- 2.中国の商標登録のための検索・調べ方・調査方法
- 3.中国商標登録出願の流れと必要な書類
- 4.中国商標登録出願に必要な費用は?安くすませるためには?
- 5.中国商標登録出願のまとめ
本内容は5分あれば読めますので、わかりづらい商標登録出願制度のポイントを簡単に理解することができます。
1.中国の商標パクリ問題と対策方法
日本の登録商標がパクられて中国で商標登録されている問題が相次いでいます。
大きな問題として「無印良品」の登録商標の訴訟問題を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
な んと訴訟では偽物が本家に勝訴しました。
無印の商標権問題は「無印良品の中国商標訴訟問題はなぜ起こったのか【学ぶべき3つのこと】」の記事で詳しく解説しています。
ここで、
「商標登録されているのに何で偽物が登録できるの?」
「明らかに不正なのだから登録を抹消できないの?」と思われるかもしれません。
しかし、日本で商標登録をしても、商標権は国内でしか認められません。
また、日本の商標法では人のものをパクって商標登録することは明らかに不正でして(商標法第4条第1項第19号)、商標を取り消しはできるのですが、中国の商標法上に左のような規定はなく不正を取り締まれないようになっています。
このため、もしあなたの商標が中国で登録されて場合、訴訟で戦うくらいしか方法はありません。
ただし、訴訟だと莫大な費用がかかります。
そこで、あなたが第3者に無断で中国で商標登録されるのを防ぐためには、あなたが中国で商標出願をして登録する以外にないのです。
もちろん、あなたが中国でビジネスをはじめないのであれば大きな影響はないかもしれませんが、今後中国でもビジネスを始めていくのであれば、中国で商標出願をしておくことをおすすめします。
そうすると、「中国の商標出願って難しそうだなあ」とか「中国に商標登録するとすごい費用がかかりそうだ…」と思うかもしれませんが、意外とそんなことはありません。
以下に解説していきます。
2.中国の商標登録のための検索・調べ方・調査方法
中国で商標出願をする場合、確実に商標登録できるために、まずはあなたの商標と同一または類似の商標がすでに中国で登録されているかどうかを確認しましょう。
確認するために、まず中国商標局のサイトにアクセスして調べます。
国家知識産権局商標局 中国商标网」(日本語「中国商標網」)のウェブサイト(http://sbj.cnipa.gov.cn/)
中国語ですが、以下の記事の手順に従ってやればそれほど難しくはありません。
中国の商標の検索と調べ方については、「【2020年】中国商標の検索で失敗しない調査方法をプロが徹底解説」の記事で詳しく解説しています。
3.中国商標登録出願の登録までの流れ
中国商標の登録出願のステップは以下のとおり。
- ①商標調査
- ②書類の準備
- ③中国代理人へ出願依頼
- ④審査
- ⑤出願公告(3か月)
- ⑥登録
登録までの流れについて、詳しくは「中国商標の商標登録までの流れは日本と何が違う?ポイントは3つだけ!」の記事でも解説しています。
中国では⑤出願公告と呼ばれる異議申し立て期間がありまして、審査に合格しても3か月間たたないと登録できないことを注意してください。
出願公告期間については「中国商標の異議申し立て制度で知らないと失敗するポイントをプロが解説」の記事で詳しく書いています。
このため、日本の商標出願よりも登録は遅めになる傾向ですのでお早めに出願することをおすすめします。
4.中国商標登録出願に必要な書類
中国商標登録出願をする場合、中国弁理士に依頼することがほとんどです。
書類の準備については、日本の商標出願の場合と大きく異なることに注意してください。
必要な書類は以下のとおり。
- ①出願人の中国語と英語表記による住所・氏名(名称)
- ②商標に使用する商品・サービスとその区分
- ③商標
- ④委任状
- ⑤登記簿謄本(個人の場合はパスポートなど)
- ⑥優先権証明書(優先権を主張する場合)
中国商標出願では、④委任状と⑤登記簿謄本が必要であることに注意してください。
また、中国では、必ずしも特定の商品・サービスの区分が、日本と同様であるとは限らないことに注意してください。
区分については「中国商標の区分と商品・役務名称で失敗しない書き方をプロが解説」の記事でも解説しています。
また、日本の商標制度のように、標準文字制度は中国にはないことも注意してください。
5.中国商標登録出願に必要は費用は?安くすませるためには?
特許事務所に依頼した場合、中国商標登録にかかる費用はどれくらいかかるものでしょうか。
実は中国商標局への手数料はとても安いです。
項目 | 費用 |
商標出願(指定商品・サービスの数が10個以下) | 300(CNY)(約4,600円)/1区分 |
追加手数料(指定商品・サービスの数が10を超える場合) | 30(CNY)(約460円)/項目 |
更新申請 | 500(CNY)(約7,500円)/1区分 |
日本の場合、商標出願手数料は12,000円(区分が1増えるごとに+8,400円)でして、登録納付料は16,400円かかります。
一方、中国では商標出願手数料は約4,600円(区分が1増えるごとに+4,600円)でして、登録納付料は0円です。
つまり、中国では、日本と比較すると約23,800円ほど安く登録することができます。
ただし、中国弁理士に依頼することになるため、弁理士手数料がかかることに注意してください。
弁理士手数料は各特許事務所によってさまざまですが、中国代理人の手数料も含めるため高めの傾向にあります。
費用については「中国商標登録の費用はどれくらい?安くできるコツは?プロが解説」の記事でくわしく解説しています。
また、台湾・香港・マカオについて商標登録の費用を知りたい方は「台湾・香港・マカオの商標登録制度と費用は中国とどう違うのか?プロが解説」の記事も参考になります。
5.中国商標登録出願のまとめ
以上、中国商標の登録出願について解説しました。
もしあなたが中国でビジネスを始めるのであれば、早いうちに商標出願をすることをおすすめします。