「商標と商号と屋号の違いがわからない。
商標と商号で使い分ける意味は?
商号を登録しているのに商標を登録するメリットは?教えてほしい。」
こうした疑問に答えます。
これから起業したり、個人事業主としてビジネスをはじめる方は「商標」「商号」「屋号」の違いを知っていないと損をしかねませんので本内容で理解しておくことをおすすめします。
1.商標・商号と屋号の違い
「商標」「商号」「屋号」の違いを事例で解説します。
(事例)
・Twitterなどのプロフィールアイコンにのせるための似顔絵の作成代行サービスを始める
「屋号」➤「Portrate Studio」
屋号とは、事業の名前をいいます。
屋号は、原則自由に名前を使えることができます。
上の例のように、「〇〇studio」という名前をつけることができ、ユーザにどのような事業をしているかわかりやすくすることができます。
このように、屋号とはあなたがビジネスをはじめる上で必ず必要となるものです。
これに対し、商標・商号は、屋号と違って必ずしも必要ではありません。(※個人事業主の場合。法人では商号は必須。)
しかし、あなたの屋号を誰にも使われたくない場合、国に申請することで保護してもらいます。
保護してもらったものが、「商標」「商号」にあたるわけです。
2.商標と商号の違い
商号 | 商標 | |
---|---|---|
適用法律 | 商法・会社法 | 商標法 |
管轄 | 法務局 | 特許庁 |
保護対象 | 文字のみ | 文字・ロゴ(シンボルマーク・ロゴタイプ・ロゴマーク)・トレードドレス等 |
保護期間 | 無限 | 設定登録から10年(更新制のため実質無限) |
保護範囲 | 同一又は類似の範囲 営業の範囲内 |
同一又は類似の範囲 指定した商品・サービスと同一・類似の範囲内 |
保護地域 | 営業の範囲内 | 日本国内 |
登録料 | ¥30,000(個人事業主の場合) | 出願手数料➤¥3,400+(区分数×8,600) 登録納付料➤¥16,400×区分数×2回 |
※登記の登録料は「No.7191 登録免許税の税額表」をご参考のこと。
「屋号」を他の人に使われたくないために登録・登記するのが「商標」「商号」です。
「商標」の場合、「登録」といい、「商号」の場合、「登記」といいます。
「商標」と「商号」は上のように大きく違いがあります。
ここで、上の表を見ると、商号と商標にかかる費用は、商号の場合のほうが安く、保護してもらうなら商号でいいのではないかと思われるかもしれません。
しかし、筆者は、商標を登録することをおすすめします。
3.商標を登録することのメリットは?
商標を登録するメリットを考えるよりも、登録しないことのデメリット・リスクを考えたほうがよいです。
デメリット・リスクとしては以下のとおり。
1.他人に似たような社名・商品名を真似されても文句を言えない
2.似たような社名・商品名の商標権をとったものから警告を受けると使えなくなる
3.Amazonブランドに登録できない
4.上場審査やDDでマイナス評価になる
1.と2.は防衛的な立場からとることをおすすめします。
もしあなたがネットショップを開店してAmazonに出店するなら商標は登録することをすすめます。
くわしくは「Amazonブランド登録のメリット・やり方をブランド登録のプロが解説」をご参考ください。
また、今後あなたが法人化を考えている場合も商標は登録しておいたほうがよいでしょう。
4.商標登録の審査・費用について
商標の場合、出願して6か月~1年ほどで登録することができます。
なぜこれほど長いかというと、審査に時間がかかるためです。
ただし、特定の条件を満たせば、「無料」で審査を早くしてもらえる早期審査制度があります。
早期審査制度を利用すれば、通常、出願して2か月ほどで登録できます。
早期審査制度については、「商標の早期審査の要件と書き方と誤解しやすいポイントまで徹底解説」の記事で解説しています。
費用については、以下のとおり。
出願手数料➤¥3,400+(区分数×8,600)
登録納付料➤¥16,400×区分数×2回
区分って何?という方は「商標の区分とは!?意味と簡単に調べられるコツをプロが徹底解説」が参考になります。