商標の区分の41類をご存知ですか。
おそらくほとんどの方は知らないんじゃないかと思います。
しかし、あなたがYoutube・ブログ・TwitterなどのSNSで発信をするときは注意した方がよいです。
というのも、Youtubeやブログで投稿したコンテンツを削除したり、Twitterで名乗っている名前の変更を余儀なくされるおそれがあるためです。
事例:「【ミニマリスト注意】商標権の侵害で動画450本を削除した件を弁護士に相談した結果。」
上の事例では、とある登録商標(動画では特定していないので伏せておきます)をコンテンツのタイトルなどに使用したとして警告を受けて、動画を全て削除した事例です。
この登録商標では、指定役務として第41類の「知識の教授」を指定していたことが大きなポイントとなっています。
「第41類とは?」「知識の教授とは?」
本内容では、特に有用の情報コンテンツを発信している方向けに商標権の侵害と言われないために注意すべき第41類について解説していきます。
本内容を読めば、もしかしたらあなたが知らずに侵害しているかもしれない商標権について理解でき、削除・名義変更のリスクを回避できるでしょう。
1.商標の区分の第41類とは!?
あなたが商標登録をする場合、出願書類に登録したい商標と、商標に使う商品名・サービス名を特定します。
※商標登録を0から知りたい方は「商標とは?区分とは?絶対わかるようにプロが簡単に解説【事例あり】」をご参考ください。
また、商品名・サービス名は、それぞれの種類によって45の区分に分類されており、区分も特定する必要があります。
区分については、「商標の区分とは!?意味と簡単に調べられるコツをプロが徹底解説」で詳しく解説しています。
(例)
- 商品名が化粧品➤第3類
- 商品名が自動車➤第12類
- サービス名が広告関係➤第35類
ここで注意すべきところは、商標が登録されたからといって、すべての商品名・サービス名でその登録商標が使用できないわけではないということです。
例えば、第3類の化粧品しか指定していない登録商標の場合、第28類のゲームソフトにその登録商標と同一・類似の商標を使用しても、商標権の侵害とは原則いえません。
ただし、あなたがビジネスとしてYoutube・ブログ・TwitterなどのSNSで情報を発信する行為は、第41類のサービスに相当するものと考えた方がよいでしょう。
第41類の区分に該当するものは、「教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動」に関するサービス名です。
具体的には以下のとおり。
- 娯楽の提供
- 知識の教授
- 教育の分野における情報の提供
- 娯楽情報の提供
- 娯楽分野における情報の提供
- "オンラインによる電子出版物の提供(ダウンロードできないものに限る。)"
- 文章の執筆
- フィットネスの教授
- "オンラインによる映像の提供(ダウンロードできないものに限る。)"
- 個人に対する知識の教授
特に注意すべき点は「知識の教授」です。
「【ミニマリスト注意】商標権の侵害で動画450本を削除した件を弁護士に相談した結果。」でも「知識の教授」が大きなポイントとなりました。
というのも「知識の教授」の知識とはとても広い概念でして、あなたがどんなコンテンツを発信しようがそれは知識の教授に文言上あてはまりうるからです。
「ミニマリスト」「ブログノウハウ」「プログラミング」「資格試験」「DIY」などあらゆるコンテンツの発信は「知識の教授」に当てはまります。
では、あなたがコンテンツを発信したときに、「知識の教授」を指定した登録商標を使ってしまうと、商標権の侵害となるのでしょうか。
1.1.商標権の侵害に当たる要件
要件はさらに2つあります。
①業として使用していること
②商標的使用であること
「業として」とは簡単に言うとあなたのビジネスのためにという意味です。
例えば、Youtubeで広告を載せている場合、「業として」に該当しますし、広告を載せていなくても、あなたの商品・サービスを紹介しているのなら「業として」に該当するでしょう。
一方、あなたが金銭目的ではなく、単なる趣味でコンテンツを発信している場合は「業として」に該当せず、商標権の侵害とはいえないでしょう。
次に、「商標的使用」ですが、これを簡単に言うと、「商標を、商品又はサービスの出所の目じるしとして使用する行為」をいいます。
商標的使用とは具体的に以下のとおり。「商標的使用とは?知らないと恐ろしい商標的使用をプロが解説」
(事例)
①あなたが、海外から輸入した時計に「SEIKO」のロゴをつけて販売する行為➤商標的使用に該当
②あなたが、「SEIKO」の時計を中古販売する行為➤商標的使用に該当しない(但し特許権の侵害に該当するおそれあり)
③あなたが、「adidas」の靴下を使って手作りのマスクを販売する行為(マスクには「adidas」のロゴが見える)➤商標的使用に該当
④あなたが、「adidas」の靴下を使って手作りのマスクを販売する行為(マスクには「adidas」のロゴが見えない)➤商標的使用に該当しない
⑤あなたが、Youtubeタイトルやブログタイトルに「断捨離」をつけて情報を発信する行為➤商標的使用に該当(可能性が高い)
⑥あなたが、Youtubeの中で「断捨離」という言葉を使う行為➤商標的使用に該当しない(可能性が高い)
以上をまとめると以下のとおり①~④を全て満たすと商標権の侵害といえます。
①登録商標を使用していること(類似のものもダメ。パロディ含む)
②指定商品・サービス(役務)の範囲で登録商標を使用していること
(例)
指定役務に第41類「知識の教授」が含まれる登録商標を使用してコンテンツを発信する。
③業としての使用であること
④商標的使用であること
では具体的に第41類で登録されている商標としてどのようなものがあるのか。
以下に見ていきます。
2.商標の区分の第41類で登録されている商標
「インフルエンサー」(登録第5535820号)は第41類の指定役務「知識の教授」で登録されています。
もしあなたが「インフルエンサー〇〇」と名乗ってビジネス目的でコンテンツを発信した場合、商標権の侵害となる可能性が高いと考えられます。
インフルエンサーという言葉自体を使うのはOKですが、名乗るのは控えることをおすすめします。
「メンター」(登録第5234608号)もまた第41類の指定役務「知識の教授」で登録されています。
もしあなたが「メンター」と名乗ってビジネス目的でコンテンツを発信した場合、商標権の侵害となる可能性が高いと考えられます。
控えることをおすすめします。
「断捨離」(登録第4787094号)もまた第41類の指定役務「知識の教授」で登録されています。
コンテンツタイトルに「断捨離」をつけると商標権の侵害となりうる可能性が高いです。
それ以外の商標の調べ方は、特許庁のサイトの「J-plat-pat」から可能です。
商標権者にも普通名称化のリスクがある
事例「【ミニマリスト注意】商標権の侵害で動画450本を削除した件を弁護士に相談した結果。」にもあるように、商標権者はまずコンテンツの削除をもとめてくることが多いので注意してください。
ここで、上の動画のコメントを見ると、「こんなことくらいで過剰に反応して使用を禁止するなんて…」とコメントをされている方もいますが、商標権者にも他人から安易に使用されることのリスクがあるのです。
それは「普通名称化のリスク」です。
登録商標「正露丸」が一般に使われるようになって普通名称化して商標権を失ったように、安易に野放しして一般人が普通に使ってしまうと、普通名称化して商標権を失ってしまうリスクがあります。
そうすると、せっかく取得して、ほぼ永遠に権利を持続できる商標権を失ってしまいます。
このように商標権者もリスクを回避するために、警告書を発して使用を禁止していることは知っておいた方がよいでしょう。
商標権者がせっかくとった商標なのですから、安易に使わないようにすることをおすすめします。
4.商標の区分の第41類はとっておいた方がよい話【早い者勝ちの世界】
もしあなたがビジネスでインフルエンサーとしてマウントをとりたければ、あなたのネーミング・サイト名・チャンネル名・言葉を第41類で商標登録することをおすすめします。