「商標的使用」ってご存知でしょうか。
たぶんほとんどの人が知らないと思います。
しかし、Youtuberやブロガーなど発信者の方は注意してください。
知らないと、あなたがこれまでに書いたコンテンツを削除せざるをえないことになります。
事例としてYoutuberがなんと商標権の侵害でなんと動画450本を削除した件もあります。
参考:「【ミニマリスト注意】商標権の侵害で動画450本を削除した件を弁護士に相談した結果。」
商標登録を発信で使ってはダメなのか?どういうケースの場合ダメなのか。
基準は「商標的使用」を理解すればわかります。
本内容では「商標的使用」を誰でもわかりやすく解説します。
1.商標的使用とは!?
商標的使用について、商標法では第2条第3項各号に規定されています。
第二条 …
3 この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。
一 商品又は商品の包装に標章を付する行為
二 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
三 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
四 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
五 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
六 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
七 電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
八 商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為
第2条第3項各号には、8つの使用形態について触れられています。
ほとんどの人は、何が何やらさっぱりわからないでしょう。
簡単にまとめると、商標的使用とは、
「商標を、商品又はサービスの出所の目じるしとして使用する行為」
と覚えておけばOKです。
これだけだとパッとわからないかもなので事例をいくつか紹介します。
①あなたが、海外から輸入した時計に「SEIKO」のロゴをつけて販売する行為➤商標的使用に該当
②あなたが、「SEIKO」の時計を中古販売する行為➤商標的使用に該当しない(但し特許権の侵害に該当するおそれあり)
③あなたが、「adidas」の靴下を使って手作りのマスクを販売する行為(マスクには「adidas」のロゴが見える)➤商標的使用に該当
④あなたが、「adidas」の靴下を使って手作りのマスクを販売する行為(マスクには「adidas」のロゴが見えない)➤商標的使用に該当しない
⑤あなたが、Youtubeタイトルやブログタイトルに「断捨離」をつけて情報を発信する行為➤商標的使用に該当(可能性が高い)
⑥あなたが、Youtubeの中で「断捨離」という言葉を使う行為➤商標的使用に該当しない(可能性が高い)
2.商標的使用をすると必ずしも商標権の侵害にあたるわけではない
商標権の侵害となるケースは3つ要件がありまして、商標的使用はその要件の1つです。
このため、商標的使用をすると必ずしも侵害に該当するわけではありません。
第三十七条
次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
一 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
二 ・・・(以下略)
まとめると商標権の侵害の要件は以下の3つです。
①商標的使用であること
②使用した商標が登録商標と同一か類似すること
③商標を使用した商品・役務(サービス)が登録商標で指定した商品・役務(サービス)と同一又は類似であること
③がわかりづらいので補足します。
商標登録では、商標と、商標に使用する商品名・サービス名をセットで登録します。
商標が登録されたからと言って、必ずしもすべての商品・サービスに登録商標の使用が禁止されているわけではないのです。
例えば、「コーヒーぼうや」という登録商標が仮にあったとして、商品名(コーヒー豆の販売)とサービス名(飲食物の提供)の2つしか登録されていない場合、「コーヒーぼうや」という商標を幼児用玩具に使用する行為は商標権の侵害に該当しません。
ただし、ほぼメジャー企業のブランド名は全ての商品・サービスで商標登録されていることに注意してください。
3.商標的使用で注意すべき事項
ブロガーやYoutuberに特に注意したほうがよい点は以下のとおり。
・タイトルやブログ名・チャンネル登録名に登録商標が含まれるかどうか。
・含まれる場合、登録商標の指定役務に第41類「知識の教授」があるかどうか。
調べ方:特許のサイト「J-Platpat」から「商標」を選択して調べることができます。
「知識の教授」が含まれるとやっかいです。
というのは、「知識の教授」というのは漠然としていて、ブログ・Youtubeの発信もある意味「知識の教授」といえるからです。
本文中に事例として使うぐらいなら大丈夫と思いますが、タイトルなどに使うと要注意です。
商標権の侵害と疑われて、警告されると何もできないおそれが高いです。
その結果、これまで蓄積したコンテンツを削除するはめとなります。
商標的使用のまとめ
商標的使用を知らないと一歩まちがえると大損を被る可能性があるので発信者は注意してください。
なお、あなたが特定のワードを流行らせて、商標登録出願をし、流行したワードの使用ライセンス料を得るという戦略も可能です。