「米国で商標登録したいのだけど、出願から登録までの流れを知りたい。
日本の商標登録制度とどう違うのだろうか。
あと、商標登録と更新にかかる費用も知りたい。」
こうした疑問に答えます。
米国の商標制度は、日本の商標制度とは大きく異なります。
結論から言うと、大きな相違点は以下の3つです。
ポイント
①登録査定の前に出願公告期間(異議申し立て期間)がある点
②登録納付料は不要である点(ただし、出願費用が高い)
③登録査定の後に使用証明書(登録商標が使用していることの証明書)を提出する必要がある点
米国の商標出願から更新までにかかる特許庁費用は以下のとおり。
1区分 | 2区分 | 3区分 | |
---|---|---|---|
米国特許庁出願費用(出願時に払う費用) | 275ドル (約28,700円) |
550ドル (約57,400円) |
825ドル (約86,100円) |
米国特許庁登録費用(登録時に払う費用) | 無料 | 無料 | 無料 |
使用宣誓書提出費用(登録後に払う費用) | 100ドル (約10,400円) |
200ドル (約20,800円) |
300ドル (約31,200円) |
米国特許庁更新費用(更新時に払う費用) | 400ドル (約41,800円) |
800ドル (約83,600円) |
1,200ドル (約125,400円) |
使用宣誓書提出費用(更新時に払う費用) | 100ドル (約10,400円) |
200ドル (約20,800円) |
300ドル (約31,200円) |
以下では、出願から登録までの流れ、日本の商標制度との相違点、費用についてさらに深堀していきます。
本内容の構成
1.米国の商標の出願から登録までの流れを解説
2.米国の商標の出願制度と日本の商標の出願制度の相違点は3つ
3.米国の商標の出願から登録・更新までにかかる費用を解説
4.米国の商標出願制度のまとめ
1.米国の商標の出願から登録までの流れを解説
米国の商標出願から登録までに5つのステップがあります。
①出願
②方式審査
③実体審査
④出願公告
⑤登録公告・登録証発行
順番に解説していきます。
①出願
出願書類(願書)に記載の事項は以下のとおり。
- ①出願人の氏名と住所
- ②登録したい商標
- ③指定商品(役務)とその区分
- ④出願の基礎
原則①~③については、日本で記載すべき内容と相違はありません。
④出願の基礎の提出義務は日本とは異なるため注意が必要です。
出願の基礎とは以下の4つのうちいずれかです。
- 米国での実使用に基づいた出願であること
- 使用意思に基づいた出願であること
- 外国登録に基づいた出願であること
- 外国出願に基づくパリ優先権主張をした出願であること
順番に解説します。
米国での実使用に基づいた出願であること
既に米国で使用を開始している場合に選択できます
出願時に使用証拠の提出(使用開始日を記載した使用宣誓書と使用の事実を示す資料)が必要です。
ここで、商品に商標を使用する場合、広告としての使用(例えば、商標をWebサイトに広告として使用するなど)は実使用とは認められないので注意してください。
一方、サービスについては広告としての使用は実使用と認められます。
使用意思に基づいた出願であること
出願時に使用していない場合に選択できます。
ただし、登録査定の日から6月の間に使用証拠を伴なう使用宣誓書を提出する必要があります。
外国登録に基づいた出願・外国出願に基づくパリ優先権主張
外国登録に基づいた出願は登録証の控えを提出する必要があります。
この場合も使用している必要はありませんが、使用する意図を出願書類に記載する必要があります。
なお、パリ優先権主張は、外国での商標出願日から6か月以内であることに注意してください。
②方式審査
方式審査は、出願書類に形式的な不備がないかの審査です。
不備がある場合、米国特許庁から修正の指令が通知されます。
③実体審査
実体審査は、先願商標と同一・類似であるかといった類否判断など日本と同様の不登録理由があるかどうかの審査です。
不登録理由がある場合、拒絶理由が通知され、指定された期間に出願人は意見書を提出することができます。
④出願公告
実体審査で不登録理由がないと判断された場合、出願公告されます。
出願公告の期間は30日であり、この期間に第3者が商標の異議申し立てをすることができます。
これに対し、日本では不登録理由がないと判断された場合、登録公告がされ、所定の登録納付料を支払うことにより、登録証が発行されます。
このように、米国の場合は登録公告がされる前に出願公告があり、日本と異なる点に注意してください。(異議申した期間も異なります)
あなたが、相手方の商標の登録を阻止したい場合もまた、この出願公告の期間でないと阻止が難しいため注意してください。
⑤登録公告・登録証発行
出願公告の間に異議申し立てがされなかった場合、あるいは異議申し立てが認められなかった場合、登録公告がされ、登録証が発行されます。
登録公告がされると、登録証が発行されます。(登録納付料は不要です。)
ただし、出願時に使用証拠の提出をしていない場合、使用証拠を伴なう使用宣誓書を提出する必要があることに注意してください。
商標権の存続期間は日本同様10年間であり、更新により存続させることができます。
以上をまとめると、出願から登録までの流れでは、実体審査の後に出願公告があることが大きなポイントとなります。
では、続いて制度について日本の商標制度と対比しながら解説していきます。
2.米国の商標の出願制度と日本の商標の出願制度の相違点は3つ
相違点は以下の4つです。
ポイント
①登録査定の前に出願公告期間(異議申し立て期間)がある点(解説済み)
②登録査定の後に使用宣誓書を提出する必要がある点
④登録納付料は不要である点(ただし、出願費用が高い)(解説済み)
以下では、使用宣誓書について解説します。
①登録査定の後に使用宣誓書を提出する必要がある点
米国では、以下の期間に実際に商標を使用している事実を示す使用宣誓書を提出する必要があります。
①米国商標登録の日から5年経過~6年目末
②米国商標登録の日から10年目(更新時)
使用宣誓書の提出がない商品・サービスについては登録が取り消されることに注意してください。
また、使用宣誓書の提出には特許庁への費用もかかることに注意してください。
費用は以下で解説します。
3.米国の商標の出願から登録・更新までにかかる費用を解説
1区分 | 2区分 | 3区分 | |
---|---|---|---|
米国特許庁出願費用(出願時に払う費用) | 275ドル (約28,700円) |
550ドル (約57,400円) |
825ドル (約86,100円) |
米国特許庁登録費用(登録時に払う費用) | 無料 | 無料 | 無料 |
使用宣誓書提出費用(登録後に払う費用) | 100ドル (約10,400円) |
200ドル (約20,800円) |
300ドル (約31,200円) |
米国特許庁更新費用(更新時に払う費用) | 400ドル (約41,800円) |
800ドル (約83,600円) |
1,200ドル (約125,400円) |
使用宣誓書提出費用(更新時に払う費用) | 100ドル (約10,400円) |
200ドル (約20,800円) |
300ドル (約31,200円) |
出願から登録・更新までにかかる特許庁費用は以下のとおり。
米国では使用宣誓書の提出費用も払う必要があることに注意してください。
1区分あたり、出願から登録までに40,000円ほど、更新に50,000円ほどかかります。
一方、日本の場合、1区分あたり、出願から登録までに30,200円かかり、更新に38,800円かかりますので、日本と比べると香港の方が特許庁費用は高くなります。
4.米国の商標出願制度のまとめ
以上をまとめます。
ポイント
①登録査定の前に出願公告期間(異議申し立て期間)がある点
②登録納付料は不要である点(ただし、出願費用が高い)
③登録査定の後に使用証明書(登録商標が使用していることの証明書)を提出する必要がある点
米国の商標出願から更新までにかかる特許庁費用は以下のとおり。
1区分 | 2区分 | 3区分 | |
---|---|---|---|
米国特許庁出願費用(出願時に払う費用) | 275ドル (約28,700円) |
550ドル (約57,400円) |
825ドル (約86,100円) |
米国特許庁登録費用(登録時に払う費用) | 無料 | 無料 | 無料 |
使用宣誓書提出費用(登録後に払う費用) | 100ドル (約10,400円) |
200ドル (約20,800円) |
300ドル (約31,200円) |
米国特許庁更新費用(更新時に払う費用) | 400ドル (約41,800円) |
800ドル (約83,600円) |
1,200ドル (約125,400円) |
使用宣誓書提出費用(更新時に払う費用) | 100ドル (約10,400円) |
200ドル (約20,800円) |
300ドル (約31,200円) |